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Channel: 臆病なビーズ刺繍
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今週の朝日俳壇から(6月16日掲載・其の?)

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[金子兜太選]

(養父市・足立威宏)
〇  六月の尾根といふ我が水平線

(さぬき市・野?憲子)
〇  ヒロシマナガサキそしてフクシマ田水張る

(いわき市・馬目空)
〇  憲法を怯へさせるな聖五月  

(東京都・野上卓)
〇  沖縄忌白砂は骨ではありませぬ  

(オランダ・モーレンカンプふゆこ)
〇  孫連れてカモの子猫の子羊の子

(男鹿市・三浦善隆)
〇  蛍火や座敷童子も眠らせて

(神戸市・豊原清明)
〇  夏の星輝く為の盲導犬

(川口市・青柳悠)
〇  聖五月被爆マリアの海青し

(高槻市・日下總一)
〇  早早と坂の女子高衣更

(日立市・加藤宙)
〇  大仏の坐薬の如き筍が

今週の朝日俳壇から(6月16日掲載・其の?)

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[長谷川櫂選]

(唐津市・諸岡ひとし)
〇  我よりももつと頑固な夏の風邪

(札幌市・村岸きくの)
〇  髪切つて五月の風と帰り来ぬ

(船橋市・斉木直哉)
〇  葭切や昼の横臥の天眩む

(福岡県大木町・徳永スキ子)
〇  鱭(えつ)の網流してあとは潮まかせ

(岡山市・村瀬憲正)
〇  旧暦はあれこれよろし菖蒲の湯

(石川県能登町・瀧上裕幸)
〇  紛争のなき星なれと幟立つ

(小田原市・丸山典雄)
〇  大いなる薔薇大いなる風の中

(小樽市・伊藤玉枝)
〇  夏潮のきらめきにこそ旅心

(熊本市・近藤史紀)
〇  駅にまだ少年のきみ夏の蝶

(高槻市・都築憲)
〇  難産の老いの一句や夏来る

今週の朝日歌壇から(6月16日掲載・其の?)

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[永田和宏選]

(フランス・松浦のぶこ)
〇  民主主義冒さるるとき民として何人にも抗へとドイツ憲法

(上田市・笠原幸子)
〇  本当に心配なことは知らされないそれすら知らず送る毎日

(千葉市・田口英三)
〇  ダ・ヴィンチの遠近法の釘打たるるイエスのおでこまじまじと見き

(東京都・上田結香)
〇  パエリアの底のお焦げをゴリゴリとさらいつつまだ切り出せぬこと

(熊本市・近藤史紀)
〇  焼きたてのパンの匂いを連れて来る火曜の彼女はちょっと大人だ

(松阪市・金子すみゑ)
〇  対等に夫婦喧嘩のできる日を願い暮れゆく病室を出る

(尾張旭市・橋本新一)
〇  涸井戸をそつと包みし杜若原敬生家不来方の里

(松戸市・猪野富子)
〇  水槽のほていあおいの下にいる金魚ら浮きくる吾が影させば

(可児市・三田村広隆)
〇  欅坂欅の陰は浅くして五月のバスは遅るるがよき

(東京都・田中洋)
〇  我もまた動物園で肩車するパパという名の動物となる

今週の朝日歌壇から(6月16日掲載・其の?)

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[馬場あき子選]

(さいたま市・吉田俊治)
〇  ふと消えてしまったように花終えてナンジャモンジャに朝の静寂

(摂津市・添田尚子)
〇  春空に小学生は車座で男同士の顔をしており

 〔返〕  春の夜に小学生は車座で海蛇座などを観測している

(大阪市・原正樹)
〇  ビリヤードの球の動きにきらきらときみの黒目の視線がおどる

(伊勢崎市・千明眞佐子)
〇  神戸(ごうど)駅駅長さんが売っている山椒の煮付けと竹の子を買う

(富山市・松田梨子)
〇  深い人おだやかな人澄んだ人理想のタイプは晴れた日の琵琶湖

 梨子さんったら、妹に上から目線で視られているくせして「ナマ」言っちゃったりして!
 それに、今の琵琶湖の水は晴雨に関わらずそんなに澄んではいませんよ!


(蓮田市・斎藤哲哉)
〇  梅雨近し赤松が森香り立ち地より湧き出づ松蝉の声
 
 本作は、「梅雨近し/赤松が森香り立ち地より湧き出づ/松蝉の声」と、一句で切れ、四句で切れる、という変則的な句切れの一首である。
 皮肉で言ってるんではありませんよ!
 マジ、マジ、マジで言ってるんですよ!
 だって、四句目中の「湧き出づ」は、複合動詞の終止形なんですから、それ以外の句切れは考えられんでしょ!

(鴻巣市・佐久間正城)
〇  駒を持つ羽生善治の指先の震へて勝ちの止めを刺したり  

(所沢市・鈴木明美)
〇  えだ豆をはじめて茹でし夫と飲む発泡酒なれど極上の味

(石川県・瀧上裕幸)
〇  潮風を肌に感じて廃駅のホームを歩む蟻の団体

(相模原市・松並善光)
〇  真夜中の爆音すさまじ 厚木には占領軍がいまも居すわる

今週の朝日歌壇から(6月16日掲載・其の?・火曜日お笑い特集)

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[佐佐木幸綱選]

(盛岡市・堀米公子)
〇  「吉田調書」やはりてんでんこ逃げていた危険感じたその場にいた人

 私の記憶しているところに拠ると、「津波てんでんこ」という三陸地方の方言を用いた短歌の朝日歌壇での当選作は、平成23年5月23日の「高野公彦選」の5席に選出された、宇都宮市にご在住の河西弘正さんの「災害に生きて残りし年寄の重き言葉よ『つなみてんでんこ』」という佳作を以って嚆矢とする。
 あれから3年余りの月日が経過した今日、この言葉の使用範囲は、今や、三陸地方という限られた狭い地域のみならず、「全国区」とでも言うべき範囲にまで及んでいるのである。
 本作も亦、この全国区的な規模で普及しつつある「(津波)てんでんこ」という言葉を作中に用いた歌であり、「是が今週の朝日歌壇の佐佐木幸綱選の首席に選定された唯一無二の理由は、作中に『てんでんこ』という流行語的かつ選者好みのする言葉を用いている点にある」などと、何事につけても疑り深い私・鳥羽省三などは憶測してしまうのである。
 何故ならば、本作は文意不明、特に下の句の「危険感じたその場にいた人」という13音などは、作者が何を言おうとしているのか、凡百の私如き者にはまるっきり見当が付かないからである。
 昨今の朝日新聞社は、物見高い娯楽週刊誌の読者諸氏から、「我が国に於ける中国大陸や朝鮮半島の代弁機関」などと揶揄されながらも、大江健三郎氏などの我が国を代表する識者と一体となり、「原発の再稼働反対」、「集団的自衛権行使反対」、「特定秘密保護法施行反対」などの大キャンペーンを張り、一種の「反政府運動団体」の如き様相を呈しているのであり、その影響は、読者諸氏からの偏らない投稿作品で以って編集されるはずの「朝日歌壇」や「朝日俳壇」にまで及ぼうとしているのである。
 したがって、気が優しくて人柄の宜しい「朝日歌壇」の選者諸氏も亦、「好むと好まざるに関わりなく、投稿歌の選歌に当たっては、必然的にそうした偏頗な姿勢を取らざるを得ない立場に追い込まれているのではないか」と、私などは、これ亦憶測してしまうのである。
 ところで、盛岡市の堀米姓と言えば、我が国が産んだ世界的バイオリニストの堀米ゆず子さんや、八木節で知られた、かつての我が国の民謡界の輝かしきリーダーの堀米源太さんと縁のある人物かも知れません。
 だとしたら、そうした貴種が、何が故に朝日歌壇の「原発再稼働反対キャンペーン」になどに便乗した短歌を詠む必要がありましょうか?
 ゆめゆめ、そんな軽はずみな行為に走ったりして、身に纏う透き通った絹のブラウスを穢してはなりません。
 以後、十二分にお気を付けなされ。
 なんちゃったりしてしまいましたが、ここら辺りで手間暇を惜しまずに一首の意を述べると、「この度の朝日新聞の大スクープ記事の『吉田調書』に拠ると、あの福島原発メルトダウン事故の際の東京電力社員の態度もやはり『てんでんこ』だったのであり、吉田所長の所長命令に反して第2原発まで逃げていた者も居れば、危険を感じつつもその場にいた人も居たのである」といったところでありましょうが、言葉不足や表現技術の未熟さは否めず、首席入選はおろか、入選作品として紙上に掲載されたのも不思議である。
 〔返〕  率先し「津波てんでんこ」やらかした東京電力社員の失態
 選者の佐佐木幸綱先生よ!貴方ぐらいの貴種が、首席作品としてご選定なさる作品ならば、せめてこれぐらいの出来栄えの作品であるべきでしょう。


(千葉市・鈴木一成)
〇  衝撃の吉田調書が明らかに特報なくば未だ知られず

 過日発行の「週刊ポスト・6月20日号に「『吉田調書』スクープは従軍慰安婦虚報と同じだ」という大見出しの記事が掲載された、と言う。
 それに伴って、朝日新聞社は、去る6月9日、「週刊ポスト」の版元・小学館宛てに「(同記事は)報道機関としての朝日新聞社の名誉と信用を著しく毀損する」として厳重に抗議し、訂正と謝罪の記事の掲載を求める文書を送った、とのこと。
 それはどうでも宜しいが、本作も亦、前述の堀米作品と同様に、朝日歌壇の「原発再稼働反対キャンペーン」に便乗しようとする魂胆が見え見えの作品ではあるが、その出来栄えの程は堀米作品よりはかなり増しである。
 それはともかくとして、千葉市にお住いの鈴木一成さんの仰る「衝撃の吉田調書」が「明らかに」したものは、他ならぬ「我が日本国民の劣性である」との説が、昨今の世間では専ら為されているであるが、その点に就いては私は首肯出来ません。
 〔返〕  衝撃の吉田調書がすっぱ抜き菅元総理の無念の冤罪


(石川県・瀧上裕幸)
〇  等伯の松林屏風の奥に見ゆ凪ぎてやさしき故郷の海

 私・鳥羽省三は、件の「屏風」を是までに少なくとも三回は観ているのであるが、墨で以って描かれた「松林」の「奥」に、本作の作者・瀧上裕幸さんの仰る、「凪ぎてやさしき故郷の海」が描かれているとは、ちっとも知りませんでした。
 私には、絵というものを観る目が備わっていないのでありましょうか?
 私の観たところ、件の墨絵の屏風には、数本のひょろそょろとした松以外には、何も描かれていないように思われるのですが、観るべき人が観れば、あの貧弱な「松林」の背景には、本作の作者・瀧上裕幸さんの「凪ぎてやさしき故郷の海」が、真実描かれているのでありましょうか?
 だとしたら、私は謙虚な気持ちになって反省しなければなりません。
 〔返〕  歌詠みは尤もらしき噓を言ふ松林図屏風は単なる墨絵


(東京都・豊英二)
〇  月明かりの富士を見よとぞ樹海より満月の出て雪を照らせる

  公平な観察眼を以ってすれば、「作中の『満月』が、富士山の『樹海』より出て来て、折から降り積もっていた、山麓の『雪』を照らしていた」のは事実としても、「『月明かりの富士を見よ』」との目的一心で以って出て来た」のではありません。
 それなのに、如何なる理由が在って、東京都にお住いの豊英二さんは、上掲の一首をお詠みになったのでありましょうか?
 「天下万民の目に遍く見えるものを、選ばれた自分の目にしか見えない」などと、敢えて口にするのも、優れた歌人が備えていなければならない要件なのでありましょうか?
 〔返〕  「年金の振込票を見てみろ!」と二度も三度も連れ合いの言う 


(福島市・山田毅)
〇  福島に住むなは天の声として他に住む人の永遠のご無事を

 一首の意は、或いは「私は被災地・福島県民の一人として、為政者の言う『福島に住むな』という言葉を『天の声』として受け入れているのであるが、今の素直な気持ちとしては、福島県を離れて『他』の土地に『住む人』の暮らしが『永遠』に『ご無事』であることを願うのみである」といったところでありましょうか?
 だとしても、そうした解釈は、私が無い知恵を振り絞ってようやく為し得たものであり、私以外の誰もが、そうした解釈を為し得るとは限りません。
 客観的な判断をすると、本作は短歌未満の言葉の出鱈目な羅列に過ぎません。
 それを承知の上で、本作を入選作とした理由は、「本作の作者・山田毅さんが被災地・福島市の住民である」という事以外には考えられません。
 一体全体、朝日歌壇の選歌の実態はどうなっているのでありましょうか?
 選者の佐佐木幸綱先生の頭が「くるくるぱー」になってしまったのでありましょうか?
 〔返〕  「被災地に当分住むな」は天の声 聴くも聴かぬも泣きの涙で


(田村市・久住秀司)
〇  わが首長らは避難者側と対座する国の職員の横に並びて

 「着眼点良し」と申し上げるべき場面ではありましょうが、福島原発メルトダウン事故の被災者救済の為の賠償交渉か何かの会場のテーブルの配置が、たまたまそういうことになっていただけの事ではありませんか?
 だとしたら、それを目敏く見つけてこんな歌を詠むとは、あまりにも底意地の悪い作者である。
 福島県田村市の市長を肇とした、被災地の首長連中の頭の程度は判りませんが、彼らが、安倍首相並みの頭脳の持ち主であったとすれば、テーブルの配置を替えて、自分たちも「国の職員」と「対座する」位置に座ったはずである。
 でも、そうしたからと言って、必ずしも彼ら首長どもが「正義の味方・月光仮面」である訳はないでしょう。
 要するに、国家公務員であろうが地方公務員であろうが、役人は骨の髄まで役人の汁に染まっているのである。
 それにしても、作中、四句目の「国の職員の」という言い方は、あまりにも幼稚な言い方ではありませんか?
 〔返〕  首長らは被災者側と対座する東電幹部の脇に侍って
      首長らは被災者吾を凝視する加害者側の席に侍って
 これくらいは、子供にだって詠めるでしょう!
 松田姉妹に笑われてしまいますよ!
 少しは恥ずかしいと思いなさいよ!


(福島市・青木崇郎)
〇  巨き輪を内から外(と)へと越せばまた同心円の続くふくしま

 通常の言い方を以ってすれば、「同心円の続く」とは言わない。
 「同心円の膨らむ」と言うべきである。
 何故ならば、「同心円」とはあくまでも架空の概念であって、実線で以って縁取りすることが不可能なものだからである。
 かくして、被災地・福島を題材にした作品の全てが凡作中の凡作なのである。
 〔返〕  膨らみて地球の全てが同心円 福島原発そのど真ん中
 「巨き輪を内から外(と)へと越せば」なんちゃってさ!
 馬鹿馬鹿しくて鑑賞する気にもなりません!
 仮にでも、被災者を名乗るなら、もうちょっとしっかりせんかい!
 言葉の遊びに耽っている場合ではありませんぞ!
 それなのに、言葉の遊びになってるならまだしも、このままでは尻取りにもなってないし、ただの単語の羅列遊びではありませんか!  


(宇部市・崎田修平)
〇  使用済み燃料棒は釜の外プールで白む「五重の防御」

 原発内部の構造に就いて、或いは核物質の有害性に就いての知識が足りない私には、本作の意味するところがよく解りませんが、本作を通じて作者の崎田修平さんが言わんとするところは、「『使用済み』として『釜の外』に除去された『燃料棒』も亦、人体に有害かつ地球を核汚染する有害物質のばら撒きをするから安全とは言えない」という事でありましょうか?
 〔返〕  使用済み金精様は蚊帳の外満足したのか大黒ぐうすか


(松戸市・三宅安子)
〇  ヌメア冲の海深く潜水艦と舵取る父は今も海なり

 作中の「ヌメア(Nouméa,/ヌーメア)」とは、フランス領ニューカレドニアの最大都市の名称である。
 その海域は美しい珊瑚礁で囲まれていて、毎年、夏になると多くの観光客が訪れるのである。
 しかしながら、平和のシンボルみたいなその島の冲、即ち「ヌメア冲」は、かつて日米両国の海戦が行われた激戦地であり、今でも戦艦や潜水艦の残骸などが沈んでいて、過ぎし日の戦いの激しさを偲ばせるのである。
 ところで、本作の表現は「言葉不足」或いは「舌足らず」というべきものであり、その大意を捕捉することは極めて難儀である。
 今、私が作中に置かれている語句を手掛かりにして、その大意を探れば、凡そ次のようなものかと思われる。
 即ち「『ヌメア冲の海深く』には我が国の『潜水艦』が一隻沈んでいるのであるが、私の『父』は、その『潜水艦』の『舵』を取っていたのであるから、その娘に当たる私としてはとても傷ましい気持ちがするのである。しかし、今、この地に訪れてみると、この海の底に沈んでいるはずの『潜水艦』の姿も、その舵取りをしていたはずの『父』の姿も見えず、辺り一面は、ただ茫漠とした『海』ばかりである」と。
 このように、欠点ばかりが目立つ本作が、名にし負う「佐佐木幸綱選」の入選作となった理由は、その題材と主題が「反戦思想」的なものであるからでありましょうか?
 優れた短歌を詠む要諦は「主題と表見」、即ち「何を如何に詠むか?」という点に係っているとするのが、私たち歌詠みにとっての常識である。
 然るに、今の「朝日歌壇」に於いては、その中の「如何に詠むか?」という点はどうでも宜しくて、ただひたすらに「何を詠むか?」という点にのみ、投稿者の力点が置かれているのである。
 投稿者諸氏のそうした間違った認識を改めさせ、短歌道を正しく導くのが、選者四氏の唯一無二の仕事ではありませんか?
 〔返〕  ぬめりあるほとを探ればしくしくと美女は嗚咽す昨夜見た夢


(八王子市・栗原文夫)
〇  碩学と言われし人の卒寿過ぎなお投稿す反戦の歌

 本作も亦、「阿り諂い根性丸出し」の作品である。
 他に言うべきこと無し。
 〔返〕  碩学と言われたわりには訳知らず芋の煮えたも御存じない

今週の朝日歌壇から(6月16日掲載・其の?・)

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[高野公彦選]

(伊勢崎市・千明眞佐子)
〇  神戸(ごうど)駅駅長さんが売っている山椒の煮付けと竹の子を買う

 旧国鉄の足尾線・現在の「わたらせ渓谷鉄道」が、「観光客向けのトロッコ列車を走らせたり、トロッコ列車がトンネル内に入る時、車内の天井一面にLED電球を点して銀河鉄道の世界を現出させて観光客を驚かせたり、地元産の食材を利用した美味しい弁当を車内販売したり」と、一所懸命の生き残り策を展開している事は、本ブログの愛読者クラスの知識人ならば、何方でも既にご存じの事かと思われます。
 その「わたらせ渓谷鉄道」の「神戸(ごうど)駅」の駅長さんが、私の知らない間に、私の許可を得ないままに、駅構内の売店で自家製の「山椒の煮付け」や裏山から掘って来た「竹の子」を販売しているとは、これ亦「驚き桃の木山椒の木」とは、この事を指して言うのかも知れません。
 ところで、この短歌に接した私・鳥羽省三は、作中の「神戸駅駅長さんが売っている山椒の煮付けと竹の子」の代価が幾らかと疑問を感じ、それを買った千明眞佐子さんに直接電話して問い質そうと思ったのであるが、生憎、私と千明眞佐子さんとの関係は従妹でも再従妹でも無く、おまけに情を通じた間柄でも無いので、私が彼女の携帯電話の番号を知ってる訳はありません。
 そこで頭のいい私は、急遽の策として、インターネットで検索して、千明眞佐子さんの携帯電話の電話番号を調べようとしたのであるが、当然の結果として、ネット場の記事からお目当ての美女の携帯電話の電話番号を特定できる訳はありません。
 その結果、やっとの思いで検索し得たのは、「恋するフォーチュン占い?千明眞佐子さんのこれからの運勢は?」という、どうでも宜しい与太記事だけでありました。
 〔返〕


(ホームレス・坪内政夫)
〇  気がつけば冥途にまぎれお花見の残り旨酒集めていたり

 選者の寸評に「冥途はこの場合『暗黒の世界』ぐらいの意」とあるが、これはいかにも頭の固い高野公彦先生らしい解説であり、やわらか頭の鳥羽省三としては、「冥途はこの場合『食物漁りの仲間』ぐらいの意」としたいところである。



(奈良市・矢尾米一)
〇  蔑みて時代遅れと言ひ募る幸福遅れに気づくことなく

(草津市・山添聖子)
〇  新しい友達の家玄関を開ければふわりとその子の匂い

(飯能市・高橋節子)
〇  轟音はじわりじわりと増えゆきて基地への空路の真下に暮らす

(熊本市・近藤史紀)
〇  焼きたてのパンの匂いを連れて来る火曜の彼女はちょっと大人だ

(大分市・岩永知子)
〇  端正な父の手紙も走り書きの母のはがきも風入れの季

(三鷹市・坂本永吉)
〇  宮間蹴りしボールは澤のヘッドにて魔球となりてゴールを刺しつ

 「都合良く出来た短歌である!」と言いたくなったりするのであるが、宮間選手も澤選手も、ある意味では「魔女」と言うべき存在であるから「さもありなん!」

(西之表市・島田紘一)
〇  原発を逃れ来し人桜島の陽を消すほどの火山灰を楽しむ

(下野市・若島安子)
〇  秣場の草の匂も杳かにてソーラーパネル並む丘となる

今週の朝日歌壇から(6月16日掲載・其の?の?)

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(上田市・笠原幸子)
〇  本当に心配なことは知らされないそれすら知らず送る毎日

 「本当に心配なこと」=「それ」。
 つまり、「本作の作者は、上の句で『本当に心配なこと』として提示した内容物を下の句で『それ』という形で再提示しているのである」と解釈するならば、本作は一種の強調表現であるとも言えようか?
 ところで、「知らされない」とはどういうことか?
 「知らされない」とは、受身表現である。
 つまり、本作の作者は、「私たち国民にとって『本当に心配な』事柄に就いては、為政者たちは知らせてくれるという労を取らずに秘匿している」と述べているのであって、「積極的に知ろうという姿勢」は示していないのである。
 「知る権利」は、「生きる権利」や「見る権利」などと共に、民主主義制度下に於ける基本的人権の一つである。
 しかしながら、そうした権利を、真実の意味で自らのものにする為には、その実現を漫然として待っていただけでは到底叶うばずも無く、自らが「生きよう!」「見よう!」「知ろう!」と、一歩足を前に踏み出して行かなければならないのである。
 「知らされない」などと言って、自らの足を踏み出して行かない者は、自分自ら憲法で保障された「知る権利」を放棄しているのである。
 と、まあ、理屈張った解釈をしてみましたが、私の本音を言わせていただきますと、本作の作者は、朝日新聞社の「特定秘密保護法施行反対キャンペーン」に便乗して、首尾良く「朝日歌壇」の入選を果たそうとしているだけのことでありましょうか?
 〔返〕  本当に同情するなら金を呉れ安達祐実さん流行語大賞


(千葉市・田口英三)
〇  ダ・ヴィンチの遠近法の釘打たるるイエスのおでこまじまじと見き

 レオナルド・ダ・ヴィンチの描く磔刑図を題材とした作品ではありましょうが、その作品名を特定出来ない点など、表現上の欠陥ばかりが目立つ作品であり、優れた点を敢えて揚げるならば、「イエスのおでこまじまじと見き」とした、歌人ちゃん的な表現でありましょうか?
 「ダ・ヴィンチの遠近法の」とした、詠い出しの二句の表現の幼稚さには、読者の誰もが失笑してしまいましょう。
 〔返〕  「ダ・ヴィンチぞ!」と遠近みなが奮い立つ!ザッケロJAPANダ・ヴィンチ続き!


(東京都・上田結香)
〇  パエリアの底のお焦げをゴリゴリとさらいつつまだ切り出せぬこと

 久しぶりに訪れた彼と楽しく食事をしようと思って、せっかく炊いた、ご馳走の「パエリア」に「お焦げ」を作ってしまうとは、上田結香さんという女性は、よくよく悪い星の下に生まれて来た女性である。
 彼女は、腕前が腕前だから、慣れないスペイン料理などすると、失敗してしまうのは予め分っていたことである。
 どうせなら、冷蔵庫の中に溜まっていた野菜や魚介類を総浚いして、手慣れた「混ぜご飯」でも作っていたならば、そんな失敗をしないでも済んだはずなのに、運の悪い人は、何処までも運が悪いものである。
 それにしても、泣きの涙で「パエリアの底のお焦げをゴリゴリとさらいつつ」も「まだ切り出せぬこと」とは、一体全体どんな悩み事でありましょうか?
  〔返〕  焦げ付いて三月になるとは切り出せずパエリア鍋をゴリゴリ浚う


(熊本市・近藤史紀)
〇  焼きたてのパンの匂いを連れて来る火曜の彼女はちょっと大人だ

 「高野公彦選」六席と共選。


(松阪市・金子すみゑ)
〇  対等に夫婦喧嘩のできる日を願い暮れゆく病室を出る

 「巴御前に匹敵する腕力を以って知られる、本作の作者・金子すみゑさんと『対等に夫婦喧嘩のできる』までになる為には、あと二ヶ月間の入院加療を要する」との、ドクターからの診断が下されたのでありましょうか?
 〔返〕  対等に夫婦喧嘩の出来る日は赤飯炊いてお祝いしよう


(尾張旭市・橋本新一)
〇  涸井戸をそつと包みし杜若原敬生家不来方の里

 日本初の本格的政党内閣・原内閣の盟主・原敬の「生家」は、盛岡市歴史的保存建造物に指定され、盛岡市本宮字熊堂九十三番地の壱に現存している。
 本作の表現に拠ると、「その原敬の生家が不来方の里に在り、その庭の涸井戸をそつと包むようにして杜若が咲いている」というように読み取れるのであるが、「不来方」とは、原敬の生家の在る、「盛岡市本宮字熊堂」地区を特定して示す地名と言うよりも、むしろ、現在の岩手県盛岡市の「古称」乃至は「雅称」とした方が宜しいのかも知れません。
 また、現在の原敬記念館、即ち「原敬生家」と言えば、先ず第一番に思い出すには、あの「戴き桜」、即ち「原敬の父、原家第八代の当主・原直治政中(1815〜1865)が南部公から拝領した古木の桜」であるが、作中の「涸井戸」も亦、「戴き桜」と共に原敬生家の風情に一段と彩りを添える記念物でありましょうか。
 寡聞にして私は、その「涸井戸」を包むようにして「杜若」が咲いていたかどうかは記憶しておりませんが、その事とは別に、盛岡市山岸字大平地内には、「山岸のカキツバタ群落」と呼ばれる、岩手県指定文化財の「杜若」の大群落が在り、その季節になると多くの観光客の目を楽しませているのである。 
 〔返〕  不来方の城の石垣見上げつつ藩閥政治を憎みしか?原


(松戸市・猪野富子)藩閥政治
〇  水槽のほていあおいの下にいる金魚ら浮きくる吾が影させば

 飼い主の猪野富子さんの「影させば」「水槽のほていあおいの下にいる金魚ら」が水面へと「浮きくる」のは、ただ単に餌を欲しがっての事である。
 〔返〕  水槽の布袋葵の根方にて餌を欲しがる金魚の心 


(可児市・三田村広隆)
〇  欅坂欅の陰は浅くして五月のバスは遅るるがよき

 国土交通省の国土技術政策総合研究所が2007年に行った調査結果に拠ると、我が国の街路樹のベストスリー及びその概数は、「第1位・公孫樹・57万本」、「第2位・桜・49万本」、「第3位・欅・48万本」とのこと。
 また、街路樹の果たすべき役割りとして期待されるのは、一般的に見て「新緑や紅葉、花が季節の変化を知らせ、景観を豊かにする役割り」、「野鳥や昆虫の棲家や通り道となり、生き物の命を育む役割り」、「二酸化炭素(CO2)や車の排気ガスを吸収し、酸素(O2)を放出する役割り」、「強い日差しを防ぐ木陰を造り、路面の温度上昇を抑える役割り」、「歩道と車道との境を成し、歩行者と車の通行の安全性を高める役割り」という五点である。
 本作、即ち「欅坂欅の陰は浅くして五月のバスは遅るるがよき」に詠まれている街路樹は、前掲「ベストスリー」の「第3位」にランクされている「欅」であり、本作の作者・三田村広隆さんが、その「欅」の「街路樹」として期待している役割りは、前述の五点の役割りの全ての役割りであるものと判断される。
 ところで、私がインターネットで検索したところ、本作の作者・三田村広隆さんがお住いの愛知県可児市には、「桜ヶ丘ハイツという景観絶佳な高級住宅地があり、その一廓には「欅が丘地区」という名称の欅並木の美しい高級住宅地が在る」とのこと。
 想像を逞しくすると、本作の作者・三田村広隆さんは、その「欅並木の美しい高級住宅地・欅が丘地区」にお住いになって居られるのかも知れません。

 話題は本題から少し逸れますが、以下に、ネット上の「桜ヶ丘9条の会の掲示板」というタイトルのブログの「2014-04-11 18:20:20」付けの記事を無断転載させていただきます。

 4月10日付けで桜ヶ丘住民の会の可児市長に対する追加質問に、可児市長から回答がありましたので掲載します。
 桜ヶ丘ハイツ内の欅が丘地区の位置づけが、可児市の都市計画マスタープランでは、「約1万人が居住する大型住宅団地」の中には、欅が丘地区が含まれており、可児市の都市計画プランの「桜ヶ丘地区」には、欅ケ丘地区も当然含まれ、桜ヶ丘地域の開発計画も、当然欅ケ丘を含んだ土地利用だという位置づけに変わりはないという一方、市長がリニアの環境影響評価方法書に対して出した意見書では、なぜか「桜ヶ丘ハイツ」という名称が消え、桜ヶ丘ハイツを、三つの団地に分割してしまい、皐ケ丘地区と桂ヶ丘地区の間にある将来桜ヶ丘ハイツとして一体となる「1万人以上が居住する大型住宅団地」の一部分である欅ケ丘地区は桜ヶ丘ハイツに含まれないと一方的に断定し、そのことを前提としてリニア意見書を書いたという。
 この論法で行くと「1万人が居住する大型住宅団地」というものは存在しないということになる。
 つまり、大型住宅団地は回避すべきとされているので、他のリニア沿線の大型住宅団地は概ね回避できたが、1万人もの住民が居住する桜ヶ丘ハイツを通過するために、桜ヶ丘ハイツを4つの団地に分断してしまったのである。
 リニア計画自体に、深刻な疑問が寄せられている状況下、岐阜県や可児市、勿論JRも住民の不安、疑問をいたずらに増幅させるだけで、住民には何のメリットもない無謀なリニア計画は、撤回するしかない。

 この記事に私が注目した理由は、私が現住している川崎市多摩区南生田の直ぐ近くも「リニア中央新幹線の立坑予定地」になっているとかで、住民の間で賛否両論の激しい論議が交わされているからである。
 この論議に対する私の意見は極めて曖昧なものでありますが、敢えて一言申し上げますと、「人口の激減が必至の近未来の我が国に於いては、立坑そのものよりも、リニア中央新幹線自体が無用の長物のように思われてならない」のである。
 〔返〕  欅坂、高級住宅地骨抜き、空気抜き穴化するかも知れません

 
(東京都・田中洋)
〇  我もまた動物園で肩車するパパという名の動物となる

 真昼の動物園のパンダ舎の前では僕を「肩車する」かと思えば、深夜のベッドルームに於いてはママの肉を貪ったりする。
 「パパ」こそはまさしく「動物」なのである。
 しかも、ただの「動物」では無くて、「草肉兼喰の得体の知れない猛獣」なのである。
 〔返〕  パパもまた僕のママを襲ってる男は誰でも猛獣なのだ!

今週の朝日歌壇から(6月30日掲載・其の?・)


今週の朝日歌壇から(7月7日掲載・其の?・)

今週の朝日歌壇から(7月7日掲載・其の?・)

今週の朝日歌壇から(7月7日掲載・其の?・)

今週の朝日歌壇から(7月7日掲載・其の?・)

今週の朝日俳壇から(7月7日掲載・其の?・)

今週の朝日俳壇から(7月7日掲載・其の?・)

今週の朝日俳壇から(7月7日掲載・其の?・)


今週の朝日俳壇から(7月7日掲載・其の?・)

今週の朝日俳壇から(6月30日掲載・其の?・)

今週の朝日俳壇から(6月30日掲載・其の?・)

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[大串章選]

(神戸市・森木道典)
〇  箱庭に有為の奥山ある如し  

(日立市・國分貴博)
〇  敦忌の西口出れば夕焼くる

(東京都・をがはまなぶ)
〇  蚊遣火の煙の中の昭和かな

(西東京市・白尾幸子)
〇  泣きながら麦秋の中駈けていく

(春日部市・星道夫)
〇  梅雨曇り灯台白をつらぬけり

(相馬市・根岸浩一)
〇  夏燕解き放たるる山河かな

(久慈市・和城弘志)
〇  夏の炉や国後島の近くあり

(船橋市・斉木直哉)
〇  短夜の樹樹の温みや駐車場

(福津市・松崎佐)
〇  菖蒲田に命一つの白さかな

(明石市・小田慶喜)
〇  心太鬱なるこころ押し出せり

今週の朝日俳壇から(6月30日掲載・其の?・)

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[稲畑汀子選]

(松本市・唐澤春城)
〇  花見終へせせらぎの音戻りけり

(姫路市・蔭山一舟)
〇  庭の蚊を分散させし人の数

(今治市・横田青天子)
〇  こんなにも近くに鳴きて時鳥

(富津市・三枝かずを)
〇  句心の通ふ主客や風炉点前

(宮若市・菅井久美子)
〇  糸雫花菩提樹の匂ふ雨

(岡山市・岩崎ゆきひろ)
〇  蔵町の甍つないでゐる緑

(浜田市・田中由紀子)
〇  守宮来て夜の書斎を覗かれし

(奈良市・吉田淳)
〇  まだ生きるつもり今年も蚊帳を出す

(磐田市・谷公子)
〇  寝足りし日寝足らざる日や明易き

(江別市・深田一灯)
〇  クラークの頃の香りをライラック

今週の朝日歌壇から(6月23日掲載・其の?・)

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[永田和宏選]

(大和高田市・森村貴和子)
〇  「車椅子誰が押すのよ」と言ってみる答えぬ夫が見ている未来

(館林市・阿部芳夫)
〇  たんぽぽの咲きたる順に絮となり絮となりたる順に飛びゆく

(厚木市・櫻田稔)
〇  津軽藩と島津藩とのやりとりに通司のゐたることを読みをり

(宮城県・須郷柏)
〇  津波にて骨なき墓を祀りたる小村四戸に山百合の供花

(埼玉県・鈴木みさ子)
〇  ドライ・アイ目薬をさし滑らかな目玉で先ずはあなたを睨む

(野洲市・谷恵子)
〇  いつだって強がる君はまっすぐでだから淋しいだからいとしい

(岡山市・酒井那菜)
〇  同じ場所同じしぐさでかきあげた笑顔の君の伸びた前髪

(神戸市・安川修司)
〇  のちの世にスマホ時代と語られるのどかな時代なんだろう 今

(宮城県・中松洋子)
〇  若きらの公演待つ列横に見て改憲反対デモ行進す

(群馬県・小倉太郎)
〇  人間は愚者なりと思うその故に憲法という歯止め尊ぶ
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